黄金期最後に越えられない「20発の壁」 中日3年目ドラ1は“12年ぶり悲願”現実味
シーズン20本塁打以上は日本選手で2010年の和田一浩以降出ていない
中日の石川昂弥内野手が、高卒3年目の今季にブレークを果たそうとしている。開幕からここまで全27試合に出場し、チームトップの4本塁打をマーク。まだ序盤ながら、年間21本塁打のペースで打っている。チームで日本人打者によるシーズン20発は、黄金期終盤の2010年以来出ていない。広い本拠地をものともしない12年ぶりの“悲願”に向け、周囲の期待が日ごと高まっている。
プロ入りからの2年間は故障に泣かされてきたが、長打力にはチームメートの誰もが「モノが違う」と目を見張る。立浪和義監督も近い将来を見据え、起用を続けることを決断。開幕直後こそ打席で苦しむことも多かったが、試合を重ねるにつれて結果も伴ってきた。4月24日の巨人戦で4打点をマークすると、同28日にはチームトップとなる4号2ラン。5月1日の広島戦では3安打の猛打賞と頼しさを増してきた。
“ピッチャーズパーク”と呼ばれるバンテリンドームを本拠にする中日では、20本塁打がひとつのハードルになっている。昨季は17本の主砲ビシエドがチーム最多。木下拓哉が11本で日本選手トップだった。2018年にはビシエドが26本、2017年にはゲレーロが35本放っているが、日本選手となると和田一浩が37本、森野将彦が22本を放った2010年までさかのぼる。
もちろん、誰かが20本打てなくても勝つことはできる。リーグ連覇した2011年は、ブランコがチーム最多の16本、次点で和田の12本だった。ただ、落合博満監督が築いた黄金期以降、20発以上放った和製大砲がいないのは確か。2019年の福田永将も18本、平田良介は2013年の15本がキャリア最多となっている。
10年に及ぶ低迷の中で、チームもファンも待ち望んでいた存在。その姿に、石川昂がぴたりと当てはまろうとしている。まだシーズンは始まったばかりで、1軍で戦うのは実質1年目。長いシーズンでは不調や疲れの波が襲ってくることもある。それでも、同僚たちが口々に「バケモン」と言う飛ばす力は、この上ない魅力。ハタチの若武者が、低迷脱出の旗印になる可能性は十分にある。
(Full-Count編集部)