野球の「センス」って何だろう? 経験積めば向上、中高で一気に伸びる子も

運動の上達や成功から自信を得る「運動有能感」向上に力を注ぐ

 グッドフェローズの練習では基礎体力と運動能力を向上させるトレーニングに時間を割いている。「走る」「飛ぶ」「回る」など36種類ある基本の動きをもとに練習メニューを作る。そこに「バランス能力」「操作能力」「認知能力」といった5つの能力を鍛えるコーディネーショントレーニングを組み合わせていく。例えば、打撃ではバットを操り、投球に対して空間や時間を把握する力が求められる。操作能力と認知能力を磨けば、打力がアップする。

 野球の技術練習だけでなく、こうしたトレーニングを取り入れる理由はもう1つある。運動の上達や成功から自信を得る「運動有能感」を育むためだ。運動経験が少ない子どもに最初からバットやグラブを持たせても、上手くプレーできない。野球が嫌になり、競技から離れてしまう可能性がある。

 基礎体力と運動能力を高めるトレーニングで成功体験を積んでからの方が、野球が上手くなり、好きになる確率が上がる。甲賀さんは「はじめから上手くできる子は運動有能感が高い傾向にあります。上手くできるので、さらに練習するという好循環が生まれます。一方、運動に苦手意識がある子は負の連鎖に陥ってしまうので、少しずつ成功体験を積んで、将来の土台を作ることが大切だと思います」と語った。

 少年野球における技術の差をセンスで片付けてしまえば、成長や成功の機会を失う。体の使い方を覚えたり、動きのバリエーションを増やしたりすれば、将来的に野球のパフォーマンスアップにつながる。

(間淳 / Jun Aida)

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