西武内海の63球に詰まった“19年の経験” 「生きるためには考えないといけない」
チームのために「気張らず、無理せず、背伸びせず」
巨人時代には2桁勝利を7度マークしたが、西武移籍後、昨季までは2年間で計6試合2勝2敗。コーチ兼任の肩書が加わった今季も開幕ローテーションから外れた。それでもイースタン・リーグで3試合2勝0敗、計18イニング無失点とアピールして1軍昇格。「1軍のマウンドは最高だと改めて思いました。試合前は本当に緊張して、(現役は)もういいよと思いましたが、この舞台は経験すると病みつきになる。また戻ってきたくなります」と感慨深げである。
とはいえ、「気張らず、無理せず、背伸びせず」と自分に言い聞かせる40歳は、今後の自分の役割を「ローテーションに入るというより、谷間でチームが困った時にマウンドへ上がる。そういう時に今日のような状態をキープしておく、あるいはそれ以上に上げておくことが求められると思います」と冷静にとらえている。
驚かされるのは、プロ19年目にして新球種カットボールを実戦へ導入したこと。「何年も前からずっと練習していましたが、コントロールよく操れなかった。ようやく熟しました。今年になってイースタン・リーグで使えるようになり、打者の反応も良かった」と説明する。130キロ台のストレートと120キロ前後のスライダー、チェンジアップの間に、120キロ台中盤のカットボール、フォークを加えることで「球速帯を埋めることができる。打者は打ちにくいのではないか」と言う。衰えない向上心。こうした取り組みを「生きるためには考えないといけない」と表現する。
「いろいろなプレッシャーがあります。毎週投げられるわけではないので、一発回答を求められる。今日ダメだったら、もう次はないんじゃないかという崖っぷちの状態でいましたし、それがこれからも続くと思います」と表情を引き締めた内海。8日に出場選手登録を外れたが、現役生き残りをかけて知恵を振り絞る姿をまだまだ見続けたい。