高校で野球を辞めようと思ったことも… ロッテの新1番・高部瑛斗がプロでの活躍を誓う理由
弟は「『なんでこんなに打ててないんやろう』って思っているかもしれない」
晴斗さんのことは片時も忘れたことはない。「今も何かあるたびにお墓参りに行きますし、彼のお陰でここに立てているという思いはあります」。プロ入りから2年、2軍では申し分ない結果を残した。ルーキーイヤーはイースタン・リーグ2位の打率.344。2年目の昨季は打率.327で、盗塁王にも輝いたが、1軍では2年間でわずか9安打。なかなか壁を破れなかった。
井口資仁監督も「彼にはもう2軍ではやることはありません」と認める能力の持ち主は今季、オープン戦から猛アピール。「1番・左翼」で開幕スタメンに名を連ねた。開幕から1か月以上が過ぎたが、まだスタメンを1度も外れていない。「もちろん、まだまだやれると思っています」。目標に掲げる「全試合スタメン出場」に向け、数字も追い求める。
「荻野さんのような役割が期待されていると思います。僕の特長である脚を使って、出塁率や盗塁という部分で、なんとか荻野さんよりも得点力になれる働きをしたいと考えています。『この選手なら(試合に)出すしかないよね』という数字を残せるようにやっていきたい」
1軍の舞台で、リードオフマンとしてグラウンドを駆ける兄の姿を、晴斗さんも見守っているはずだ。「彼は全く野球を知らないんで、『なんでこんなに打ててないんやろう』って思っているかもしれないんですけど……。弟のためにも、もっともっと注目されるような打者になって、もっと応援される選手になりたい」。チームの勝利はもちろん、高部には活躍しないといけない理由がもう1つある。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)