全国優勝2回、プロも輩出する静岡の強豪シニア 控え選手も高校で活躍できる秘密

レギュラー以外の選手も高校で活躍する秘密とは【写真:間淳】
レギュラー以外の選手も高校で活躍する秘密とは【写真:間淳】

レギュラー以外の選手も高校で活躍 出場機会を掴むのは守備力

 静岡裾野リトルシニアには、首都圏や関西の強豪チームほど、体に恵まれた選手が集まるわけではない。ただ、力で勝負しなくても試合に勝つ方法はあり、筋力は高校に入ってから鍛えても遅くない。

 守備を重視する練習では、基本を身に付ける反復練習にも、走者を付けた実践的なノックにも時間を割く。そして、改善すべき点が見つかると毎回プレーを止める。チーム全体で問題を共有し、その場で解決するためだ。同じ内容で繰り返しプレーを止めることもあるが、佐藤監督は「中学生なので、一度で全て覚えられないのは当たり前です。そのつど、みんなで覚えて試合で成果を出せばいいと思っています」と意図を説明する。

 守備を強化する理由は、もう1つある。高校野球を見据えた選手育成だ。佐藤監督は「プロになるような打力があれば別ですが、高校野球では守備ができない選手の出場機会が少なくなります。中学生の年代で守備力をつけておけば、高校へ行った時にチャンスが広がると思います」と語る。

 チーム作りで特に意識しているのは、レギュラー以外の指導だ。全ての選手が同じ練習メニューをこなし、練習試合でも出場機会が偏らないようにしている。その結果、チームで控えやベンチ外だった選手も、高校ではレギュラーを掴むケースが多いという。指揮官は「高校で活躍できる練習をすれば、自然と全国でも勝てるチーム力がつくと思っています。そのためには守備力の強化。だからといって、全く打てないチームではないです」と笑う。

 中学1年の時から関東の強豪チームと練習試合を組み、当然のように大敗するという。この敗戦から、選手たちは全国のトップレベルを知り、どのように差を埋めるか考える。多くの選手が、失点を減らすための“守備力”の大切さを実感するという。佐藤監督は「力の差を知るところからスタートして、2年後に逆転することを目標にします。3年生になった時には勝負できるチームになっています」とうなずく。

 チームの勝利と選手の育成。全国屈指の強豪は、守備力強化で“2つの成功”を目指している。

(間淳 / Jun Aida)

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