“ノーノー”より“10安打完封”が嬉しい? 鷹・東浜巨が理想に掲げる究極の投球
「10安打で完封できるっていう信条も曲げずにやっていきたいと思います」
東浜は総合力が高い投手だ。一方で決して何かが特別に秀でているわけではない。ストレートは150キロを超えるものの、チームメートの千賀滉大投手らより遅いし、“お化けフォーク”のような誰もが驚くような変化球を操るわけではない。ストレート、シンカー、スライダー、カットボール、カーブを駆使し、優れた相手打者との駆け引きや投球術で勝ち星を積み上げる。相手を圧倒するような投球ではなく、打たれようと、走者を背負おうと、ホームには還させないというのがスタイルだ。
その理想はノーヒットノーランを達成しても変わらない。快挙直後に問われても「10安打で完封した方が嬉しいかもしれないです。いやもう、これ以上はないんですけど、嬉しいなっていう思いはもちろんあります。ただ、10安打で完封できるっていうところも、ピッチャーとして自分の持ち味というか、そういう信条っていうのは曲げずにやっていきたいと思います」と言い切っていた。
プロとして酸いも甘いも経験してきた東浜は冷静だ。「まだ序盤ですし、これからまた試合が続いていきます。まだまだこれからだと思いますよ。そこに関しては気を緩めず、より一層気を引き締めて過ごしていきたいと思います」。快挙にも決して舞い上がることなく、足元を見つめる。大事なのは1年を通して働くこと。ノーノーの次は理想に掲げる「10安打完封」を成し遂げてもらいたいものだ。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)