少年野球日本一の監督が制度の見直し訴え 野球人口減少に拍車をかける移籍問題
野球を続けるために転校、両親と離れてホームステイする6年生
多賀少年野球クラブにも、過去に移籍問題でプレーできなくなった選手がいる。6年生の井澤佑馬くんは岡山市で小学1年生から野球をしていたが、チームを離れた。一度は野球をあきらめたものの、多賀少年野球クラブの練習を体験し「また野球がしたい」と決意。滋賀県の小学校に転校し、両親と離れてホームステイしながら仲間と一緒に白球を追いかけている。
両親が多賀町を訪れるのは土日のみ。大好きな野球をするためとはいえ、小学生にとって簡単な決断ではない。それでも井澤くんは「チームの練習がない日も、友達と野球で遊んでいます。ずっと野球ができるので、大変なことはないです」と再び野球ができる環境を喜んでいる。
辻監督は野球人口減少に拍車がかかる危機感に加えて、簡単には移籍ができない仕組み自体に警鐘を鳴らしている。「どんな子どもでも合うチームはないと思います。合わない時に辞められないチームでこそ、問題が起きるのではないでしょうか。辞めたいのに辞められない会社に問題が多いのと同じです」。
居心地の悪さや苦痛を感じるチームに所属するのか、引っ越しやホームステイをして別のチームに移籍するのか。野球を続けたい子どもたちに与えられた選択肢を、大人たちはどのように感じているのだろうか。
(間淳 / Jun Aida)
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