敗因は“考え押し付ける指導” 方針一変して全国常連に…中学野球部監督の「覚悟」

東京・上一色中の西尾弘幸監督【写真:伊藤賢汰】
東京・上一色中の西尾弘幸監督【写真:伊藤賢汰】

東京・上一色中学の西尾監督「自分の考えを押し付ける指導が敗因」

 東京・江戸川区の上一色中学校野球部は、ここ7年間で春夏合わせて全国大会に8度出場し、そのうち2度準優勝している。チームを率いる西尾弘幸監督は、かつて変化を恐れていた。あと一歩まで迫りながら長年届かなかった全国切符を手にできたのは、自分の考えを押し付ける指導方針を一転させた「変える勇気」だった。

 上一色中学の野球部は全国大会の常連となっている。最近5年間は準優勝が2回、3位が2回、ベスト8が1回。ただ、それまでは全国大会出場目前で何度も涙を呑んでいた。西尾監督は苦い記憶を回想する。

「7年前に初めて全国大会出場を決めるまで、関東大会など全国切符がかかった試合で9回負けていました。最終回の2アウト、2ストライクまで勝っていたのに逆転負けした試合もありました。自分の考えを選手に押し付けていたので、その考え通りにできなかったことが敗因だと思っていました」

 どうしても全国大会出場に届かない。西尾監督は、少しずつ自身に芽生えていた思いに向き合う覚悟を決めた。

「選手には個性があって、それぞれが違うと気付き始めていました。ずっと同じ壁で跳ね返されているのは、自分の考えを押し付ける指導に原因があるのではないかという実感がありました。現状を変えるには、自分の考え方を変えなければいけないと思いました」

「全ての選手を同じフォームにしていた」打撃指導を5年前に見直し

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