肘手術の先駆者トミー・ジョン氏が語るコロナ闘病 相次ぐ苦難も「絶対復活する」
トミー・ジョン氏は一昨年にコロナ感染、手術を受けて回復した
メジャー通算288勝を挙げたトミー・ジョン氏。その輝かしいキャリアもさることながら、1974年に初めて肘の内側側副靱帯再建術を受けたことで知られる。現在この術式は通称“トミー・ジョン手術(TJ手術)”と呼ばれ、広く浸透。多くのプレーヤーの選手寿命を延ばしている。5月22日で79歳になったジョン氏は一昨年に新型コロナウイルスに感染し一時は重篤な状態に陥ったが、奇跡的に生還。「生きているのはラッキーなことだと思う」などと米紙「ニューヨーク・ポスト」の取材に語っている。
ジョン氏が、フランク・ジョーブ博士による左肘の内側側副靭帯再建術を受けたのはドジャースに在籍していた1974年のこと。記事によれば、成功率は“1パーセント”と言われていたにもかかわらず、1976年に戦列復帰した。以降、46歳シーズンの1989年まで現役を続けて通算288勝。その内、術後に164勝をあげている。
野球界でカムバックを遂げたジョン氏は、人生においても奇跡的な“生還”を果たしていた。2020年12月に新型コロナウイルスに感染。旅行先からカリフォルニア州ラ・キンタにある自宅に帰宅すると、ほとんど歩けない状態だった。夫人のシェリルさんは「立ち上がれずにトイレにも行けない状態でしたが、病院から5度も家に戻されました。今にも亡くなってしまいそうな状態に見えました。でも助けが得られませんでした」と当時を振り返る。
5週間に渡って入退院を繰り返す日々。同時に新型コロナに感染していたシェリルさんは悪い体調を押して、ジョン氏の看護に努めたという。その後、ジョン氏の肺に血栓が2つ見つかったため、緊急手術。無事に成功して一命を取り留めた。