「いいものは触る必要がない」 ダルや田中将を指導、名伯楽が語る“高卒投手の育て方”

楽天・田中将大(左)とパドレス・ダルビッシュ有【写真:荒川祐史、ロイター】
楽天・田中将大(左)とパドレス・ダルビッシュ有【写真:荒川祐史、ロイター】

ダルビッシュの入団時、佐藤義則氏はハム2軍コーチだった

 1995年に野茂英雄氏がメジャーに挑戦して以降、多くの日本投手が海を渡り、活躍してきた。その代表格が今季でメジャー11年目を迎えたパドレスのダルビッシュ有投手や、2020年までヤンキースに7年間在籍した楽天・田中将大投手だろう。オリックス、阪神、日本ハム、楽天、ソフトバンクでコーチを歴任し、若かりし頃のダルビッシュや田中将を指導した佐藤義則氏が、高卒投手の育成ポイントなどについて語った。

 近年の日本球界は高卒投手の早期台頭が目覚ましい。科学的トレーニングの向上、メンタルケア、食育の推進なども影響しているのだろうか。オリックス・宮城大弥、ヤクルト・奥川恭伸はプロ2年目の昨季、エース級の活躍で優勝に貢献。今季は3年目のロッテ・佐々木朗希が驚異的な活躍で話題をさらい、2年目の中日・高橋宏斗も2勝を挙げている。

 佐藤氏は、ダルビッシュを日本ハムが1位指名した頃から“流れ”が生まれたと指摘する。ダルビッシュが東北高から2004年ドラフト1巡目で指名され、駒大苫小牧高の田中将は2006年に4球団競合の末に抽選で楽天へ。その後もソフトバンク武田翔太が1年目の2012年に8勝を挙げ、育成入団の千賀滉大も2年目に1軍デビュー、オリックス山本由伸も2年目にセットアッパーとしてブレークを果たした。逆に「大卒で『頑張っているなあ』と言えるピッチャーが少ないのが現状だと思う」と語る。

 ダルビッシュが日本ハムに入団した2005年、佐藤氏は2軍投手コーチだった。自主トレで膝を痛めたことから「6月15日の札幌ドームに合わせて調整させてほしい」と球団から言われ、その通りに仕上げた。この年のダルビッシュは14登板で5勝5敗、防御率3.53。「膝が悪くなかったら、最初から1軍で投げて2桁勝っていた可能性がある」と佐藤氏は振り返る。田中将は入団1年目に28登板で11勝を挙げている。

若いうちに「10年投げられるだけの体を作る準備をしなくてはならない」

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