飽きさせない目的が思わぬ効果 全ポジションを経験させる強豪少年野球チームのノック

4年生と6年生が一緒に守備練習、まねを習慣にする環境作り

 ノックのメンバーを学年で分けないのも、多賀少年野球クラブの特徴だ。全ての選手が同じ練習メニューを消化するが、辻監督は“スピードへの対応力”によってグループを分ける。選手の学年ではなく守備のレベルでグループを決めるのは怪我を防ぐ目的の他に、もう1つの狙いがある。

「例えば小学4年生がトップチームの6年生と同じ守備位置に就くと、どうすればレギュラーになれるか肌で感じられます。競い合うことで、人の良いところをまねしたり、自分に合ったやり方に工夫したりする力がつきます」

 辻監督が上手い選手のまねを習慣にする環境をつくっているのは、チーム力を上げる以上の目的がある。選手の将来を見据えているためだ。

「頭の中にまねするアプリを入れておけば、中学や高校に進んだ時、いい選手の技術を取り入れてどんどん成長できます。運動能力が高いか低いかよりも、考える力が成長を左右します。小学生だから思い切り打って、投げて、走ればいいという指導で終わってしまうと先のステージで差が表れます」

 あらゆる少年野球チームが練習メニューに取り入れているノック。小さな工夫の積み重ねが大きな違いを生む。

(間淳 / Jun Aida)

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