“負のイメージ”で普及しない少年野球でのサングラス着用 病気や怪我のリスク軽減も

サングラスメーカー「ESS」のスポンサー契約選手・正隨優弥(広島)【写真提供:株式会社ノーベルアームズ】
サングラスメーカー「ESS」のスポンサー契約選手・正隨優弥(広島)【写真提供:株式会社ノーベルアームズ】

部活中の事故で4割が目の怪我、サングラスで「予防できます」

 黒須さんがサングラスを勧める理由は、怪我の予防にもある。独立行政法人「日本スポーツ振興センター」によると、中学、高校の野球部で2020年度に起きた障害事故のうち、最多の約4割を占めたのが「視力・眼球運動障害」だった。黒須さんは「練習中もサングラスを着用していれば、怪我も予防できます」と力を込める。

 黒須さんは全国を回って、指導者たちにサングラスの大切さを説明している。しかし、思うように普及していない。目の病気や怪我のリスクを軽減する効果に理解を示す一方、“負のイメージ”を払しょくできないという。

「サングラスはファッションのイメージが強く、『学生らしくない』『子どもにはまだ早い』という声があります。学校に練習見学へ行くと、夕方には目を真っ赤にしている選手もいます。見た目のイメージではなく、目を守る大切さを知ってほしいです」

 野球は他の競技に比べて、新しいことの導入や変化に時間がかかる傾向が強い。あの頃にサングラスをしていれば――子どもたちが大人になって後悔する前に、指導者も組織や団体も検討する必要がある。

(石川哲也 / Tetsuya Ishikawa)

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