電撃解任マドン監督の大谷翔平への功罪 二刀流を後押しも“独断ストップ”かけられず
昨季の満票MVPはマドン監督の功績も…
エンゼルスは7日(日本時間8日)、ジョー・マドン監督を解任したと発表した。フィル・ネビン三塁コーチが監督代行を務める。果たして大谷翔平投手の二刀流起用法はどうなるのだろうか。
外野手4人シフト、満塁での敬遠など常識にとらわれないタクトが魅力だったマドン監督。二刀流・大谷の起用法も斬新だった。昨季は大谷の登板日に指名打者制を解除して投打同時出場させた。また、登板前後の休養日を撤廃。9勝、46本塁打と大幅に成績を伸ばした。満票のリーグMVPへ導いたのは間違いなく指揮官の功績と言っても過言ではないだろう。
大谷に全幅の信頼を寄せていた。だが、心配になる場面が多々あった。昨季から休養を取るタイミングは大谷に任され、今季の欠場は1試合のみ。驚きだったのは、大谷が5月1日(同2日)の敵地・ホワイトソックス戦で右股関節の張りを訴えた際だ。翌2日(同3日)はベンチスタートとなったが、8回に代打で出場。二ゴロだったが、全力疾走ではなく、ゆっくりとした足取りだった。志願の出場とはいえ、故障を悪化させる可能性もあった。
この右股関節の張りの影響もあっただろう。5月26日(同27日)の本拠地・ブルージェイズ戦の投球中には腰の張りを感じ、万全でない状態で投球を続けた。翌27日(同28日)こそ代打出場となったものの、その後も先発ローテーションを飛ばさず、打者としても出場を続けている。
マドン監督は何よりも大谷、水原一平通訳を交えた話し合いを重視する。長丁場のシーズンで大なり小なり痛みを抱えてプレーしているものとはいえ、指揮官の独断でストップをかける空気はなかった。開幕から今ひとつ乗り切れないのはコンディションの問題もあるだろう。
指揮官解任のショック療法の効果もなく、チームは球団ワーストの13連敗を喫した。ただ、まだ105試合が残されている。今季からエンゼルスに入閣したばかりのネビン監督代行がどのようなタクトを振るうのか。この日、ミナシアンGMは「今は、ショー(大谷)の起用法には一切変更はない。ショーは驚くほど素晴らしい選手だ」などと変わらないと強調したが、二刀流・大谷への影響は決してゼロではないだろう。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)