“山川しか打たん打線”に差し込んだ光　連敗止めた西武、冴えた指揮官の「勝負勘」

7回に山川と栗山にダブル代走→オグレディが2点二塁打

　ここで三塁走者の山川を岸、二塁走者の栗山を山野辺に代える“ダブル代走”で勝負に出た。仮にここで点が入らず、巨人に追いつかれるか逆転されて9回以降の攻撃を迎える可能性を考えると、打線の中軸2人を一気にベンチへ下げることにはリスクもあった。

　辻監督も「あそこは迷いました」と認める。「連敗していると思い切りがね……勝てていれば、山川が一塁に出た時点で代走を送っているが、いろいろ考えてしまう。山川が二塁か三塁まで進んだら代えようと、それだけは決めていました」と苦笑した。2死後、ブライアン・オグレディ外野手が右越え2点二塁打を放ち、全てが報われた。

　試合前の時点で今季打率.212の不振にあえいでいた外崎修汰内野手も、3打数2安打1打点1四球。同.182だった森友哉捕手も8回に右翼席へ待望の今季1号2ランを放った。辻監督は「外崎はずっと苦しんでいたので、これでいい感じになっていってほしい。友哉もうっぷんを晴らしたね。自分が捕手として4点取られて、モヤモヤしていたと思うが、みんなで逆転して、自分も打ったので、いい気分で明日（8日）に臨んでくれれば」と話し、終わってみれば9-4の快勝に目尻を下げた。

　さすがの勝負勘で連敗を止めた指揮官。“山川しか打たん”状態だった打線にも、明かりが差してきた。パ・リーグのペナントレースを混戦に持ち込み、台風の目となるか。

（宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki）