制球も安定の佐々木朗希、打ちまくる山川穂高 セイバー指標で選ぶ5月のパ月間MVP
鷹・今宮は月間打率.419、ハム・清宮の長打率.569は西武・山川に次いで2位
打者評価には、平均的な打者が同じ打席数に立ったと仮定した場合よりもどれだけその選手が得点を増やしたかを示す「wRAA」を用いる。
wRAA=(wOBA-リーグ平均wOBA)/1.24×打席。wOBA={0.69×(四球-敬遠)+0.73×死球+0.97×失策出塁+0.87×単打+1.33×二塁打+1.73×三塁打+2.07×本塁打}/(打数+四球-故意四球+死球+犠飛)
各チームのwRAA上位2選手は以下の通り。
ソフトバンク:牧原大成10.39、今宮健太9.15
楽天:島内宏明7.95、辰己涼介6.76
オリックス:杉本裕太郎4.24、伏見寅威4.11
西武:山川穂高12.37、中村剛也2.60
ロッテ:岡大海3.65、高部瑛斗2.79
日本ハム:松本剛6.07、清宮幸太郎5.67
5月の月間OPSランキングは以下の通り。
山川穂高(西武)1.118
今宮健太(ソフトバンク)1.008
清宮幸太郎(日本ハム).929
今宮は月間打率.419と5月の首位打者で、好調ホークス打線を牽引した。清宮は5月に16試合に先発出場。その内12試合で3番を務め、OPS0.9超えの活躍を見せた。月間打率は.262だったが4本塁打、1三塁打、6二塁打と長打が目立ち、長打率.569は山川に次いでリーグ2位だった。四球率も12.3%と高く、出塁率も.360と高水準だった。ただ、月間得点圏打率は.174だった。
5月で最もwRAAが高くチームへの貢献が高かったのは山川穂高だった。3、4月に8本塁打を放っていた山川は5月もリーグトップの9本塁打を放った。OPSも、1.335だった3、4月に続いて1超えを記録しており、スタメンに定着し始めた2017年後半から2018年にかけての勢いを彷彿とさせる活躍を見せた。チーム月間打率.237と低迷した中で孤軍奮闘の活躍を見せた山川穂高を、セイバー目線で選出する5月の月間MVP パ・リーグ打者部門に推薦する。
ちなみに、山川は6月5日時点で18本塁打を記録しており、本塁打率8.06(145打数÷18本塁打)は過去のシーズン記録の中でも3位のハイペースだ。
シーズン本塁打率ランキング(規定打席到達者のみ)
1位:バレンティン(ヤクルト)7.32、シーズン60本(2013年)
2位:王貞治(巨人)7.86、シーズン49本(1974年)
3位:カブレラ(西武)8.13、シーズン55本(2002年)
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。