鷹・藤本監督はなぜ内野ゴロを高く評価? 先制を呼んだ中村晃の“泥臭い1点”
1死満塁のチャンスで複数得点を奪いたかったはずだが…
■ソフトバンク 4ー0 阪神(交流戦・9日・PayPayドーム)
ソフトバンクは9日、本拠地・PayPayドームで阪神と戦い、4-0で勝利して2連勝とした。先発のコリン・レイ投手が9回まで1人で投げ抜き、5安打完封勝利。今季初めて4番に入ったアルフレド・デスパイネ外野手にソロ本塁打が飛び出すなど、テコ入れした打線が細かく得点を重ねてリードを広げた。交流戦優勝の可能性を残し、10日からは首位のヤクルトと直接対決を戦う。
2連勝を飾った試合後、藤本博史監督は「綺麗なタイムリーを打って得点もしたいけど、状態は悪いけど、何とかボールに食らいつくという姿勢も大事じゃないかなと思います」と語った。9安打を放って4得点。打線がつながった、とは言い難い展開ではあったものの、そんな中で指揮官が高く評価したのが、内野ゴロの間に奪った先制点だった。
初回、先頭の周東が四球で出塁。1死から柳田が四球でつなぎ、この日4番に起用されたデスパイネの右前安打で1死満塁のチャンスができあがった。ここで打席に立ったのは中村晃。1ボール2ストライクと追い込まれてからの4球目。外角低めのチェンジアップになんとか食らいつくと、打球は力ない三塁へのゴロになった。
打球が弱かったのが幸いし、一塁走者が封殺されただけで併殺崩れに。この間に三塁走者が生還し、結果的に決勝点となる先制点を奪った。続くグラシアルは遊ゴロに倒れて1点止まり。1死満塁という複数得点のチャンスだったが、併殺崩れの1点のみと、なんとももどかしい点の入り方だった。
ただ、もともと、取れるところで1点ずつ得点を重ねていくことを目指す藤本監督の見立ては違った。「三振だったら1点も入りませんから。晃がああやって、何とかバットに当てる、バットに当てれば、ああいう1点が取れる。あれが僕の中では泥臭い1点だと思うんです」。この1点こそ、まさに指揮官が得点の形として思い描く“泥臭い1点”が表れたものだった。
打線全体が不調に陥っている時だからこそ、なおさら初回のような点の取り方も必要ということか。3回はグラシアル、4回は牧原大の適時打、5回にはデスパイネのソロ本塁打と、序盤から中盤にかけて得点を重ねたソフトバンク。簡単なようで難しい“取れる時に1点を取る”ことが、勝利に近づく術ということだろう。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)