史上最強と謳われた“ダイハード打線”の真実 名伯楽が明かす強打者の育て方
引っ張り専門だった井口が身に付けた長打+確実性
ダイハード打線の1番打者に定着した村松をホームに返す役割を果たしたのが井口だった。2001年に打率.261、30本塁打を放つなど、長打力を武器としていたが、同年の打率がキャリアハイ。長打に加えて確実性も身に着けさせるため、新井氏は逆方向への意識を植え付けた。ティー打撃では外角低めを反対方向に低く強く打たせるスイングを何度も行わせた。
「初めて見た時は引っ張り専門の打者。ホームラン打者として育てていた王監督もガンガン、レフトに打てという感じだった。監督の意向とは少し違ったかもしれないが、アウトコース低めはレフトへなかなか打てない。外の球は逆方向にしっかり打ち返す。ある程度の技術を持っていた方が引き出しも増え、今後に生きると思っていた」
これにより逆方向への強い打球が増えた井口は前年から本塁打数を増加させ、.340という高い打率も記録。初めて出塁率も4割を超え、後にメジャーでも通用する“強打の内野手”としてのスタイルを確立させた。