最も上手い選手を褒めるのは「一番ダメ」 元燕左腕が語る目標設定の重要性

上のステージで生きた目標設定の習慣化

 久古さん自身も子どもの頃、両親に「お前より上手い選手は全国にいくらでもいる」と言われてきたという。現状に満足せず、小学3年生からランニングを日課にした。

 子どもの頃に身に付けた目標設定の習慣化は、プロになっても生きた。大学、社会人、プロと上のステージに進むほど、選手個人に任せられる練習が増える。久古さんは「全体練習以外にどんな練習をするのかが、すごく大事です。自分に何が足りないかを考えたり、目標達成までの計画を立てたりした子どもの頃の経験は大きかったと思います」と振り返る。

 久古さんは、目標設定には「短期」と「中・長期」の2つが必要だと考えている。プロ入りできたのは、社会人野球でプレーしていた時に毎日目標を立てていたことも要因だったという。久古さんは青山学院大卒業後、日産自動車に進んだ。しかし、入部2週間でその年限りでの休部が発表された。試合の勝敗に関わらず、野球部の活動は終わる。自分の力では状況を変えられない現実と直面し、目の前の課題を1つ1つクリアしようと決めた。

 日本製紙石巻に移籍した久古さんは、シャドーピッチング100回、5キロのランニングといった日々の目標を設定した。。中・長期的には、チームの都市対抗野球大会出場、その舞台で自分が活躍する目標を掲げ、レベルアップを図った。その結果、チームは初の都市対抗出場を決め、久古さんはプロの目に留まった。

「小学生は練習自体が大事な年代。打者だったら1日10回だけでも素振りをするというように、量ではなくまずは練習を習慣にすることが大切だと思います」と久古さん。野球人生の軌跡が、子どもの頃から目標設定する大切さを証明している。

(新保友映 / Tomoe Shinbo)

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