「最後の松坂世代」和田毅が生き残れる理由…村上宗隆を圧倒した“極端な”攻め
「長くプレーできるのには理由がある。生きる道を知っている」
4回の第2打席も、先頭の山田を歩かせたところで対戦。初球から3球目まで、変化球こそ1球入れたが、再びインコースを連発した。4球目のストレートは、やや真ん中寄りに入ったものの空振りを奪い、5球目も続けた真っ直ぐで二ゴロに打ち取った。
和田は6イニングで交代したが、以降の投手もこの日、村上を完全に抑えることができた。7回には藤井皓哉投手が空振り三振、9回は松本裕樹投手が一ゴロに仕留めた。和田が村上のバッティングを崩した形だ。
飯田氏はソフトバンクのコーチ時代、和田の背中を見続けていた。「黙々と自分のルーティンをこなしていました。練習は嘘をつきません」。細身の体形は現在もほとんど変わらない。若手選手が和田に質問する姿は“和田塾”と呼ばれている。「和田の経験は、若手にとってお手本になると思います」と言う。
今年はロッテの20歳、佐々木朗希投手が160キロを超すスピードボールを武器に完全試合を達成するなど話題を巻き起こしている。今や150キロ台は珍しくない。そんな中、和田は対照的なタイプとして弱肉強食のプロの世界で生き残っている。飯田氏は「球威がないならコントロールを磨く。生きる道を知っています。長くプレーできるのには理由があるのです」と目を細める。