凍りついた中日ベンチ「もう帰れ!」 立浪監督の怒号…京田が学んだ“我慢の意味”
打率1割台に低迷「申し訳ない気持ちも強くて、さすがに辛かった」
まずは守備。打撃は日々コーチ陣に助言を受けながら、試行錯誤する。一朝一夕で劇的に改善するほど容易くはない。「だんだん良くなっている」。首脳陣の言葉を頼りに、わずかながら手応えが芽生えた瞬間もあった。ただ、結果はついてこなかった。打率は1割台を抜け出すことはなく、規定打席に達した選手では最下位だった。
「これだけ打てないと……。申し訳ない気持ちも強くて、さすがに辛かったです」
凡退の山に、精神的に追い詰められる。打席以外にも影響が出始めたのを、立浪監督に見透かされた。溝脇との交代を覚悟してベンチに戻ると、血相を変えて歩み寄ってきた指揮官に一喝された。
「もう帰れ! ファーム行ってこい!」
他の選手たちはその光景を見ることすらはばかられ、ベンチが凍りついた。強い剣幕は、期待の大きさの裏返しでもあった。“強制送還”を告げられ、京田は目の前の野球用具を抱えてベンチ裏に引き上げた。荷物をまとめ、いったん宿舎へ。帰り支度を整え、思考停止のまま新幹線に飛び乗った。