子どもたちの「勝ちたい」を最優先 少年野球の「脱・勝利至上主義」に潜む大きな誤解

球数制限などで子どもを守る…仲間と嬉しさ分かち合うことも大切

 春日学園少年野球クラブも創設当初から「脱・勝利至上主義」をチーム方針に掲げている。だが、決して勝利を目指さないわけではない。岡本代表は「うちのチームはルールの中で全力を尽くして、試合で勝ちにいきます」と強調する。子どもたちを怪我なく中学に送り出すことを最優先の目的とした上で、技術やチームプレーの大切さを時に厳しく伝える。

 例えば、チームでは独自の球数制限を設けている。1試合の球数は小学4年生が50球、5年生は60球、6年生は70球が目安。学童野球で定められている制限よりも4、5年生は10球少ない。ルールの中で最大限のパフォーマンスを発揮できる方法や練習を考え、チーム内競争を促す。実戦形式の練習で、2死から打者がフライを打ち上げた際に走者が怠慢な走塁をすれば、監督やコーチが指摘する。

 行き過ぎた勝利至上主義には断固として反対する。ただ、今までの事を全否定したり、真逆のことをやるのがすべて正しいとも限らない。仲間と勝利を分かち合うことも野球で味わえる楽しみの一つ。春日学園少年野球クラブは子どもたちに野球の楽しさを伝えながら勝利を目指している。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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