「感情を揺さぶられた」ベイスターズ&マリノス“30周年”コラボ広告に込められた想い
マリノスは25日の柏戦、ベイスターズは28日からの阪神3連戦でスペシャルユニ着用
横浜の名所でもあるみなとみらいの風景を背景とし、光り輝く両チームのエンブレムの中にそれぞれチームを代表する5選手の躍動感あふれる姿を配置。もちろん、各選手が身にまとっているのはスペシャルユニホームだ。
「ビジュアル制作をする中で、今回とても大切なことが2つあったと思います。1つは、横浜を拠点とする2チームがタッグを組んだイベントだと直感的に伝わること。もう1つは、このコラボのために制作されたスペシャルユニホームをしっかりとアピールできること。この2点が達成できるものにしたいと思っていました」
現職に就いて1年ほどという飯島さんだが、広告プロモーションやビジュアル制作に関して「いい加減なことはできないな」と改めて気持ちを強く持つ体験があったという。それが3月25日からの本拠地開幕戦シリーズだ。まん延防止等重点措置が終了して間もない時期ではあったが、横浜駅をはじめ、球場最寄りの関内駅、日本大通り駅を中心に街がブルーに染まった。
「まだコロナ禍は続いているのに、スタジアムが満席になったんです。1つのスポーツチームに対してこれだけの熱量を持ったファンの方に集まっていただけるのが、僕にとって初めての経験だったので、とても驚きでしたし、感情を揺さぶられる部分もありました」
地元に愛されるチームであり続けるためにも、さらに多くの人に「ちゃんと興味を持ってもらえるビジュアルにしたい」とこだわりを持って制作にあたる。今回は制作パートナーから提示された4つのデザイン案の中から「マリノスさんと一致して、この案にしようとすんなり決まりました」。そこから背景などの詳細を詰めること、およそ3週間。出来上がりには両チームとも大いに満足しているという。
横浜を代表する2チームのコラボとあって、横浜市も協力を惜しまない。市庁舎にあるアトリウムの大きなサイネージで「I☆YOKOHAMA SERIES」を市民にアピールしているほか、執務室のサイネージにも掲出。「2チームでの取り組みだからこそ、横浜市にもご協力いただけたんだろうと思います。今後もいい形で連携が取れたらと思います」と話す。
30周年をキーワードとしたコラボだが、これをきっかけにサッカーから野球へ、野球からサッカーへ、双方のファンが行き来する交流が始まったり、「横浜」をキーワードに地元愛溢れる新たなファンが生まれたり、今後に向けて様々な可能性を広げるきっかけになりそうだ。そのツールとして重要な役割を果たす広告が「見た人に記憶に残ってくれればいいし、これを見た人が将来プロ選手になったりするともっといいですよね」。想いを込めた広告を通じて、飯島さんの夢も広がる。
(佐藤直子 / Naoko Sato)