「絶対隠さないと…」 元阪神・井川氏が今だから明かせる高校時代の“大失態”
自主練習では、なぜかフリーキックの練習を繰り返し内転筋を痛め、その後に断裂
翌年の選抜大会出場をかけた秋の県大会を前に事件が起きる。井川氏は練習後に各自で行う自主練習で、なぜかフリーキックの練習を繰り返していたという。
「元々、サッカーは好きだったので、監督がいなくなった隙をみてやっていた(笑)。ですが、やりすぎて内転筋を痛めてしまった。野球の練習以外で怪我をしたので、これは絶対に隠さないといけないと感じてましたね」
翌日、左足を痛めながら練習に参加。打撃投手を務める際に、スパイクを履かずに登板し、足元を滑らせた。ブチっという音と共に感じた強烈な痛み。「やってしまった、と……。力が入らなくなって、病院で検査を受けたら左足の内転筋が切れていた。これがプロに入ってからも響くことになった」。後の選手生命に関わることに。怪我を隠しながら投げたが、秋季大会は大敗を喫して甲子園を逃してしまった。
「ただ、ただ失敗してしまったと……。この1件があってからは『もう迷惑はかけられない』と。そこからトレーニングの意識が今まで以上に変わりました」、自らの不注意で甲子園出場のチャンスを逃したエースは冬の練習を乗り越え、翌1997年の春にプロのスカウトから注目されるほどの覚醒を遂げることになる。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)