日ごとに減る会話、増えた「寝かせてくれ」 仰木監督が死力を尽くした合併球団1年目

時が経つにつれて助手席のリクライニングが深くなり「ちょっと寝かせてくれ」

 神戸に向かう車中で他愛もない会話やチーム状況などを話していたが、徐々にそれは無くなっていった。当初、助手席のシートは普段通りの傾きだったが、時が経つにつれてリクライニングが深くなり、最終的にはフルフラットまで変化していった。

「これまでの闘病生活も知っていましたが、監督を引き受けられ、体調は良くなっていると思っていた。ですが、試合を重ねるごとに容体は悪化していった。車の中でも『ちょっと寝かせてくれ』と。静かに起こさないように運転しながら『監督、球場に着きましたよ』と、会話するだけになっていた」

 試合中にベンチに腰を掛け、動けない姿も目立つようになった。また、西武ドーム(現ベルーナドーム)での試合では、球場の出入りで使用する急な階段を自力で上がることができなくなっていた。センター後方の搬入口に車を付け、チームバスとは別に宿舎に帰ることもあったという。

合併球団初年度はリーグ4位でフィニッシュ「結果的に何もできなかった」

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