学校でも社会でも通じる 少年野球日本一の監督が説く「野球が上手くなる3つの力」

ノックを受ける多賀少年野球クラブの選手たち【写真:間淳】
ノックを受ける多賀少年野球クラブの選手たち【写真:間淳】

ノックを受けるのは6秒、“順番待ち”の時間の使い方で上達に差が生まれる

 今、少年野球界で最も有名な監督は野球を「ミニ社会」と例える。2018、19年に全国大会連覇も成し遂げた滋賀・多賀町の小学生軟式野球チーム「多賀少年野球クラブ」を率いる辻正人監督の連載第5回のテーマは「野球に必要な3つの力」。野球で問われる3つの力は、社会にも通じるという。

 プロになりたいと思って野球をしていても、実際に夢がかなうケースは限りなく少ない。ただ、少年野球への取り組み方が野球以外にも生きると辻監督は強調する。選手たちに繰り返す言葉に「3つの力」がある。

「野球が上手くなるには、見る力、聞く力、試す力が大切です。この3つの力は、学校でも社会でも大事です。周りで何が起きているかを観察して、人の言葉に耳を傾ける。見聞きした情報や学んだ知識を試して、勉強や仕事ができるようになります。普段の練習で同じメニューをこなして差が生まれるのは、3つの力による部分が大きいと思います」

 3つの力への意識は、幼児や小学校低学年の選手にも浸透している。ゴロを捕球する練習で、自分の順番が回ってくるまでの時間を無駄にしている選手がいると、辻監督は全体に向けて「今は何の力が大切な時間?」と問う。選手からは「見る力」と答えが返ってくる。

「例えば、練習でノックを受ける時間は6秒くらいです。次に自分の番が回ってくるのは約1分後。その1分間を休養に使うのか、他の人のプレーを見るのか、時間の使い方で成長の度合いに違いが生まれます。野球はボールを触る時間が少なく、プレーがゆっくりしている競技なので、頭の使い方が重要になってきます」

野球は社会の縮図、どのように戦うかで「結果は変えられる」

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