賛否両論…小学生の「全国大会」 軟式野球は「絶対に必要」大会形式を再検討

行き過ぎた勝利至上主義に警鐘、トーナメント形式の変更まで検討

 一部の競技が全国大会廃止の理由に挙げた「勝利至上主義」は、少年野球でも共通の問題と認識している。勝利を優先するあまり、指導者が選手を酷使したり、暴言や暴力で選手を押さえつけたりすれば、本末転倒となる。全軟連では「暴力・ハラスメントの撲滅」を掲げ、相談窓口を設置。指導者を対象にした講習会を開き、資格も設けている。特定の選手に起用が偏って故障につながるリスクを減らすため、投手の球数制限や試合時間の短縮といったルールを導入している。対策を講じ、根拠を示した上で、全国大会を継続していく考えだ。

 ただ、大会のやり方については、外部の有識者を交えた委員会で協議を重ねている。その中で検討しているのが、トーナメント方式の是非だ。優勝を目指すことがモチベーションになる反面、行き過ぎた勝利至上主義につながるというリスクもある。

 2020年に新型コロナウイルスの感染拡大で選抜高校野球大会が中止になった時のように、都道府県代表による交流戦に変更するのも選択肢の1つ。小林専務理事は「子どもたちにとって、何が必要なのかを第一に考えなければいけません。様々な角度から意見を集めて、子どもたちの健康や安全を守る万全な体制をつくっていきたいと思います」と語った。

 小林専務理事は毎年、全国大会を観戦し、子どもたちに熱い視線を送っている。「子どもたちが楽しそうに野球をしている姿を見ると、全国大会は絶対に必要で、なくしてはいけないと感じます」。勝利至上主義に偏らない、子どもたちのための大会を目指す。

(間淳 / Jun Aida)

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