常識覆す正面からのトスで打力アップ 社会人日本一チームの練習から生まれた“新型マシン”
1912安打の井端弘和氏や社会人日本一監督も重視する遅い球を打つ練習
商品開発のスピードに定評があるフィールドフォースだが「フロントティー専用マシン」は構想から商品化まで2年以上を要した。時間がかかった理由の1つは、トスの軌道。人間がトスするような滑らかさを追い求め、トスの角度も自由に変えられる仕組みにした。マシンは硬式、J号とM号の軟式と全ての球に対応できるようにし、球を補給せずに連続50球まで発射できる。マシン誕生のきっかけをつくった飯塚氏は「軸足に体重をためて投球を呼び込む感覚を養い、実戦に近い感覚で正しく打てると思います。苦手なコースを集中的に練習したり、引っ張る練習をしたりすることもできます」と少年野球の子どもたちにも勧めている。
飯塚氏も斜め前からのトスを打ち返すティー打撃に違和感を抱いていた。実際の投球をイメージしながらティー台を使って打撃練習していたが、「間を取る感覚が磨けませんでした」と悩んでいた。正面からの球を打ち返すにはフリー打撃しかないと考える中、NTT東日本でプレーしていた時にネットで安全を確保した上で正面からのトスを打つ方法を思いついた。
以来、監督になっても正面からのティー打撃を練習メニューに取り入れていた。亜大時代のチームメートだった井端弘和氏(元中日、巨人)と最近話をした際も、遅い球を打つ練習の効果を共有。井端氏は「遅い球を打つことができれば速い球は打てる。遅い球を打つのはごまかしがきかない」などと話していたという。
NPBで1912安打を積み重ねた井端氏や、都市対抗でチームを頂点に導いた飯塚氏が重要性を強調する、正面から山なりの球を打つ練習。唯一ともいえる課題だった安全性を確保した「フロントティー専用マシン」は、少年野球の子どもたちがトップレベルの選手と同じ練習をする機会を生み出した。
(間淳 / Jun Aida)
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