たった2時間の全体練習で日本一 少年野球にも生かせる「時短メニュー」で起きた変化
「狙い以上の効果」選手の自主練習にも変化
基礎体力を強化するキャンプやトレーニング期間は別として、飯塚氏は監督を務めた約7年間、この「オールインワン」を貫いた。半信半疑だったコーチ陣や選手も、次第に効果を実感。内野手がサインではなく、アイコンタクトだけでけん制を入れたり、打者は走者を進める工夫を凝らしたりするようになった。さらに、短い時間で走攻守を同時に強化するだけではなく、自主練習にも変化が生まれたという。飯塚氏は「狙い通りというか、狙い以上でした」と振り返る。
「例えば全体練習の時に、走者が目に入ってエラーした内野手は、自主練で同じ場面を想定した練習に取り組みます。各選手が課題を持って自主練習の時間を活用していました。それから、全体練習の時間が短いので選手には“余力”があります。体力も時間も残っているので、自ら考えて自主練習をします。よく練習する選手たちで、チーム練習は短くても、体を動かしている時間は自然と長くなっていました」
飯塚氏は現役時代から実戦を意識した練習を心掛けてきた。フリー打撃の時は「試合で球種は分からない」と、打撃投手に直球と変化球をランダムに投げるよう要望した。オールインワンを考案したきっかけは、中学時代の経験。日々の練習で1時間ほどフリー打撃の時間が設けられていたが、飯塚氏は時間を持て余していたという。「1時間のうち、自分が打つ時間は5分もありません。いつか監督になれたら、時間を有効に使える練習をしてみたいと思っていました」。約25年温めてきた練習メニューを、NTT東日本の監督に就任して実現させたのだ。
少年野球は社会人野球と違って変化球が少なく、高度なサインプレーは不要かもしれない。だが、試合につながる練習の工夫は、カテゴリーを問わず共通のはずだ。
(間淳 / Jun Aida)
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