8安打6四死球大荒れでも… 新庄ビッグボスが称えた上沢が“エース”である理由
上沢は7回途中119球を投げ、8安打6四死球1失点で約1か月ぶりの5勝目
■日本ハム 2ー1 オリックス(1日・札幌ドーム)
日本ハムの上沢直之投手が1日、札幌ドームで行われたオリックス戦で今季5勝目を手にした。6回2/3までで119球を要し、8安打6四死球でも1失点。苦しみながらも耐える姿には、エースと呼ばれる理由が見えた。
新庄剛志監督の恩師、野村克也氏の言葉の一つに「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」があるが、まさに“不思議の勝ち”だったかもしれない。2回、4回はいずれも敵失が絡んで1安打で得点。相手には9安打を許しながら1点に封じ、わずか4安打で勝った。
相手の山岡は8回まで95球で散発4安打1四球。自責は0ながら2失点で敗戦投手となった。「僕は調子が良くなくて勝てたのは、これも野球の1つかなと思う」と上沢が言えば、ビッグボスも「面白いですね、野球って。どこのチームも少ないヒットで勝つ時もあるし、めちゃくちゃ打っても勝てない時もある」としみじみ話した。
しかし、その勝利を呼び込んだのは、崩れなかった上沢の踏ん張りだった。毎回走者を背負い、3度も先頭の出塁を許しながらも耐えた。「あまり精神論は好きではありませんが、気合で何とかするしかありませんでした。調子うんぬんではなく、魂で投げました」と自らにムチを入れた。ビッグボスは「内容は特になかった。でも7回まで投げるというのは、やはり1番勝ち星を挙げている投手だなと思いました」と称えた。
走者がいなくてもクイックで投じ、タイミングも外した。投手陣全体の課題として「打者の打ちやすいタイミングで全員投げている」と指摘したビッグボスは「上沢くんもね、クイックでスライダーとかカーブとか投げている。ああいうところをみんなにやらせたい」と“手本”にした。
上沢は6月は4試合に登板も未勝利。10日中日戦は9回1失点でも勝てなかった。「今日みたいな状態が悪い時でも勝てることがあるし、内容的に自分が満足しても勝てない時もある。常に気持ちの波をつくらないようにやっています」。エースらしく耐えて工夫してつかんだ1勝は、大きな価値がある。
(町田利衣 / Rie Machida)