「同じ病気で戦っている選手もいる」 難病克服の亜大・田中幹也がプロ志望明言
春は1試合6盗塁のリーグ記録に並んだ快足、日本一にも貢献
今秋のドラフト候補にも名前が挙がる亜大の田中幹也内野手(4年)が3日、東京都武蔵野市の亜大武蔵野キャンパスで行われた東都大学野球連盟の個人タイトル表彰式に出席し、「狙えるなら行きたい」と、プロ志望を明言した。
今春のリーグ戦では打率.293、1本塁打2打点。リーグ最多記録に並ぶ1試合6盗塁を含む11盗塁も記録し、亜大のリーグ優勝に貢献。遊撃手部門で2度目のベストナインに選ばれた。6月に行われた全日本大学選手権でも、主将としてチームをまとめ、日本一に輝いた。
東海大菅生高(東京)時代から守備での素早い動きは“忍者”と呼ばれ、プロも注目する存在だった。亜大入学後も、1年から侍ジャパン大学日本代表に選ばれた。ところが3年夏、国指定の難病である「潰瘍性大腸炎」を発症。半年間にわたって入退院を繰り返し、体重は10キロ以上落ちた。
それでも「プロ野球選手になるのが夢」と諦めなかった。オフの2月も1人寮に残り、練習を続けた。生田勉監督も「幹也がチームをまとめてくれた」と絶大な信頼を置く、日本一チームの中心となった。
潰瘍性大腸炎は、安倍晋三元内閣総理大臣も発症した難病。プロ野球でもオリックスの安達了一内野手が2016年に発症し、リハビリを経て復帰している。田中幹も「プロでも自分と同じ病気で戦っている選手がいるので」と名前は出さずとも、励みになっていたと明かした。そして「狙えるなら、自分もプロへ行きたい」と口にする。
まだ、秋の戦いが残っている。春は終盤調子を落とし「(来期は)3割を打ちたい」と意気込む。難病に負けない“忍者”が、固い決意で上のステージを目指す。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)