山本由伸を打ってもゴロばかり…記録した“驚異の数値” データで分析「6月のパ」

オリックス・杉本裕太郎【写真:荒川祐史】
オリックス・杉本裕太郎【写真:荒川祐史】

打者の数字は普段に比べて低調…依然パ・リーグでは「投高打低」

【打者部門】
 打者評価として、平均的な打者が同じ打席数に立ったと仮定した場合よりも、どれだけその選手が得点を増やしたかを示す「wRAA」を用いる。

wRAA=(wOBA-リーグ平均wOBA)/1.24×打席

wOBA={0.69×(四球?敬遠)+0.73×死球+0.97×失策出塁+0.87×単打+1.33×二塁打+1.73×三塁打+2.07×本塁打}/(打数+四球?故意四球+死球+犠飛)

 各チームのwRAA上位2人は以下の通り。

ロッテ:中村奨吾4.02 安田尚憲2.11
オリックス:杉本裕太郎5.19 若月健矢2.24
西武:山川穂高4.74 栗山巧3.85
ソフトバンク:グラシアル4.42 牧原大成2.10
楽天:浅村栄斗4.33 鈴木大地2.98
日本ハム:上川畑大悟2.64 今川優馬1.58

 6月のパ・リーグの打者の記録を見てみる。

打率1位 銀次 .311
本塁打1位 山川穂高 7
OPS1位 杉本裕太郎 .902

 普段の月と比べると数値自体は低調といえよう。パ・リーグの有力な打者が本領を発揮できていないという現状もあるが、依然パ・リーグでは「投高打低」の状況が続いている。

 そんな中、6月で最もwRAAが高くチームへの貢献が大きかったのはオリックスの杉本裕太郎である。3、4月は打率.133、OPS.410、1本塁打と大きく苦しんだが、5月以降はチーム1位の打撃貢献度を示しており、吉田正尚が不在だったオリックス打線の牽引役となっている。よって杉本裕太郎をセイバー目線で選出する6月の月間MVPパ・リーグ打者部門に推薦する。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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