0-82の大敗に「没収試合も考えた」 ひたむきに奪った“15のアウト”に監督は感謝

わせがくの前田陽亮、飯島怜央、黒川朝元、田村勇樹監督(左から)【写真:川村虎大】
わせがくの前田陽亮、飯島怜央、黒川朝元、田村勇樹監督(左から)【写真:川村虎大】

千葉学芸との1回戦で初回から32失点…5回コールドで敗れる

 第104回全国高等学校野球選手権千葉大会1回戦が11日行われ、茂原市・長生の森野球場では、わせがくが千葉学芸に0-82の5回コールドで敗れた。大量失点で敗れたわせがくの田村勇樹監督は「一時は棄権し没収試合も考えた。よく最後まで戦ってくれました。感謝しています」と諦めなかった選手たちを称えた。

 苦しい戦いだった。初回に大会新の32得点を許すと、2回には記録をさらに更新する33得点を奪われた。1イニング最多得点、1試合最多得点など、数々の大会記録を打ち立てられ、終わってみれば被安打51、被本塁打17、82失点の大敗だった。

 通信制で、正式な野球部員は7人のみ。“助っ人選手”を加えて何とか単独チームで出場することができた。しかし、2回には、二塁・田中里空(りく)内野手(1年)が熱中症のような症状でうずくまる事態に。「限界でやっているのはわかっていたので。選手たちには『没収試合にしようか』とも話しました」と、棄権も頭をよぎったという。

 審判の判断で、試合途中に5分の“給水タイム”が設けられ、看護師の手当てを受けて何とか再開。その後も毎回得点を許しながらも15個のアウトを取った。

 試合後、取材に応じた選手たちは笑顔だった。主将の前田陽亮(ようすけ)捕手(3年)は「(試合前は)絶対100点取られると思っていた。自分たちができることはできたと思う」と納得の表情だった。田村監督も「この学校の生徒は9割が不登校を経験している。そんな選手たちが笑顔で野球をやってくれたのは教員冥利に尽きます」と打ち明けた。歴史的大敗を喫したが、選手たちは前を向いていた。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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