打者・根尾昂は失敗だったのか? “一人歩きした”期待値と周囲の等身大の評価

投手転向前の中日・根尾昂【写真:小西亮】
投手転向前の中日・根尾昂【写真:小西亮】

遊撃での定位置奪取を目指した3年目、外野一本で勝負に出た4年目

 中日の根尾昂投手が、マウンドで大器の片鱗を見せている。プロ入り後は野手一本で定位置奪取を目指してきたが、4年目の今季途中に異例の転向を果たした。常に注目の的だった「打者・根尾」にひと区切り。打撃で苦しんだ裏には、期待値の“一人歩き”もあった。

 2021年の春季キャンプでの個別インタビュー。なぜ遊撃にこだわるのか問うと、淀みなく言い切った。「そこで試合に出たいのが一番の思いなんで。優先順位は一番上」。プロで二塁も外野もやったからこそ、より強くした思い。「内野の一番上手い人がやるところ。憧れがあります」と包み隠さなかった。

 その年は、オフの段階から遊撃での定位置奪取を目標に設定。潔くレギュラーの京田陽太内野手に挑戦状を叩きつけた。ただ、1年目から周囲に外野待望論があったのも事実。くすぶり続ける“内外野論争”に、自身は「ショートで出れれば認めてくれる」と意に介することはなかった。

 もちろん報道陣は「京田vs.根尾」に注目した。京田は打撃が課題なだけに、バットでは有利に出る可能性もあったが、それ以上に差があったのが守備面。球界でも指折りの遊撃手に成長してきた背番号1の壁は予想以上高かった。他球団も「“普通には”守れる」と、遊撃・根尾に目を留めることはあまりなかった。

 そんな状況とは裏腹に、キャンプやオープン戦で存在感を示したのは打撃。首脳陣の意向で、左翼で自身初の開幕スタメンをつかんだ。ただ1軍の投手をすぐには攻略できず、打率1割台に低迷。夏場以降は2軍で再び遊撃での経験を積んだ。

コーチが語った“打者としての等身大の評価”

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