打者・根尾昂は失敗だったのか? “一人歩きした”期待値と周囲の等身大の評価

コーチが語った“打者としての等身大の評価”

 迎えたプロ4年目の今季。新たに就任した立浪和義監督はセンターラインを固めた野球を掲げ、当初遊撃は京田一択の構想だった。主な補強に着手しなかった中、空席が多かった外野に、打撃が魅力の選手たちが回った。根尾もそのひとり。3月には守備位置登録を変更し、名実ともに外野手に。今度こそレギュラー奪取だと期待は高まった。

 遊撃へのこだわりをいったん押し込め、1軍での出場機会を優先した勝負の2022年。蓋を開けてみると、居場所は得られなかった。右翼では1学年下の岡林勇希外野手が台頭し、左翼では長打力のあるドラフト2位ルーキー鵜飼航丞外野手やアリエル・マルティネス捕手が出番を増やした。

 単純な切り取り方をすると、打力で敗れた。4球団競合の末に獲得した地元のスターがくすぶる状況に、落胆するファンも少なくない。ただ、そもそも発展途上の身。期待値だけが勝手に肥大化したという見方もできる。

 今春のキャンプで、森野将彦打撃コーチは言った。

「まだ皆さんが期待しているような段階じゃない。これからやっていかないといけない選手なんだから」

 高卒でプロ入りした森野コーチ自身、1軍戦力になり始めたのは6年目。規定打席に初めて達したのは、実に10年目だった。長い目で見る必要もある高卒の野手。しかし、“金の卵”ゆえに急かされる現状に危機感も宿しての言葉だった。

打者としては“時間をかける価値がある”未完の大器だった可能性

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