練習試合19Kでスカウト注目も… 神奈川のドラフト候補がコールド負けに笑顔のワケ
大師(神奈川)のエース・澤田寛太は右肩痛からの復活
最速147キロ右腕、大師(神奈川)のエース・澤田寛太の夏は4回戦で終わった。強力打線を誇る慶応義塾に8安打7得点を奪われ、0-7の7回コールドで敗戦。それでも、取材場所に現れた澤田の目に涙はなかった。
「楽しかったです」
意外な言葉だったので、「楽しかった?」と聞き直すと、「はい、楽しかったです」と笑顔を見せた。
その笑顔には理由がある。
「昨年の12月に右肩を痛めてしまって、そこからモチベーションが落ちたことがありました。そのときのことを考えたら、よくここまで投げられたなと思います」
昨年11月の練習試合で最速147キロを記録し、1試合19奪三振をマーク。噂を聞いたNPBのスカウトが複数かけつけ、パ・リーグのあるスカウトは高評価を送っていた。
「恵まれた体型(当時186センチ85キロ)、実直そうな人間性、理にかなったフォーム、体の力と、十分にドラフト候補の右腕です。同じ時期の星槎国際の本田仁海投手(オリックス)や立花学園の永島田輝斗投手(ロッテ)より、総合的にも上の評価です」
だが、その後、右肩(右わき腹付近)を痛め、全力で腕を振るのが怖くなってしまった。春の大会では130キロ台前半のストレートと変化球で何とかかわすも、3回戦で横浜商に敗退。秋に評価していたスカウトも「今の状態では何とも言えない」とトーンダウンした。
こうした経緯があっただけに、夏のコンディションに注目が集まっていた。初戦の寒川戦では最速139キロにまでスピードが戻り、5回7奪三振無失点。慶応義塾戦では高めのストレートと低めのシンカー、チェンジアップのコンビネーションで6回6奪三振と、意地を見せた。
「怪我がなければ、150キロのストレートを投げられて、もっと抑えられたのかなとも思うんですけど、それを言っても仕方がないので。怪我をしたことで、変化球で打ち取る投球スタイルを見つけることもできました。怪我をして以降、自分のピッチングがなかなかできなかったですけど、今日は本来の自分に近いピッチングを取り戻せた実感があります。自分の中では、成長できたのかなと思います」
小山内一平監督は、「もう少し時間があればとは思いましたが、今日は『気持ちよく投げられました』と言っていたので、良かったと思います。これからもっと良くなっていきますよ」と、エースの踏ん張りを称えた。