「惹きつけられなければ終わる」“初代女子野球日本代表”が提言する競技発展の鍵
「『女の子が野球をやってますよ』ではなくて惹きつけられなければ…」
日没後はテレビにかじりつき「プロ野球中継を見ながら『こうしたら上手くなるかな』って考えるんです。プロ野球選手はみんな上手いから、いろんな選手を見て、真似してね」と回想する。「こんなこと言っていいかなぁ」と躊躇しつつ、今も昔も「甲子園へ憧れたことはない」ときっぱり。「個人的には甲子園を目指したことはないし、こだわりはありません。場所がどこであれ野球ができればそれで十分なんです」と真っすぐな愛を貫く。
当時はまだ女子硬式野球部はなかった。「高校生が大きなところで注目されながら野球ができるという点では、今の子たちはいいなと思います。甲子園じゃなくてもどこか広い球場でね」と話し、昨夏の決勝に集まった注目度の高さを羨んだ。
それは先駆者だからこそ感じてきた、女子野球発展の難しさに理由がある。「ただ『女の子が野球をやってますよ』ではなくて、なにか惹きつけられるような、観に行きたいなと思ってもらえるような野球をしないと注目してくれないと思うんです。だから、それだけ(魅力ある)野球をやらなければならない。『女の子が? すごいなー!』ではすぐに終わってしまうんです」と自身の経験と照らし合わせた。
今年も全国高校女子硬式野球選手権大会の決勝戦は8月2日に甲子園で開催されることが決まっている。昨年同等もしくはそれ以上の注目度を維持するため、ファンを惹きつけられるような野球が繰り広げられるか。「男子とは身体のつくりが違うし、パワーもないし、なかなか難しいんですけどね。でも、もっと観に来てもらえるように。望みが高すぎるかな?」。軟式も硬式も女子野球の未来がこれからも開けていくことを期待している。
(喜岡桜 / Sakura Kioka)