村上宗隆から「お前、絶対打たせないからな」 ドラフト候補、慶大・萩尾匡也の苦い夏
東京六大学2冠王の慶大・萩尾匡也は文徳高2年時に九州学院・村上と対戦
テレビや新聞で顔を見るたびに、あの暑い夏を思い出す。今春の東京六大学で本塁打と打点の2冠に輝いた慶大・萩尾匡也外野手。7月8日から開催されている「第30回 ハーレムベースボールウィーク2022」では日本代表「侍ジャパン」大学代表に選出され、4番も務めるスラッガーだ。プロの注目も集める萩尾の脳裏には、熊本・文徳高2年夏に九州学院高・村上宗隆捕手(当時3年・現ヤクルト)から言われた一言が焼き付いている。
2017年夏の甲子園出場をかけた熊本大会準決勝。文徳高は藤崎台県営野球場で九州学院高と対戦した。3点ビハインドの9回に1点を返し、なおも走者を置いて、2死で打席に4番の萩尾が入ると、マスクを被っていた村上の声が聞こえた。
「お前、絶対打たせないからな」
当時、ドラフト候補と騒がれ注目選手だった村上は、対戦相手としてはもちろん、プロの世界を目指している自分としても、意識する存在だった。その選手から、自分に対して発せられた言葉に、冷静さを失ってしまった。「何か嫌な感じになりました。ネガティブな気持ちというか……独り言で言ったのかもしれないですけど、聞こえちゃって。何でここで言うかって」。その後、萩尾は遊ゴロに倒れてゲームセットとなった。
「本人は覚えているか分からないですけど、その言葉を聞いて、僕の中では冷静を超えて気持ちがダウンしちゃったので、記憶に鮮明に残ってるんです」