「台湾の山田哲人」が“暴力猿打線”を牽引 悲願の前期V、楽天モンキーズの強さ

曾豪駒監督は涙にじませ「ようやく手に出来た」

 楽天グループは2019年9月、球団身売りを発表していたLamigoモンキーズを買収。ファンの思いを尊重し、本拠地・桃園の「園」と同じ音である「猿」が由来のチーム名を残し、「楽天モンキーズ」に生まれ変わった。モンキーズは2017年前期から2019年前期まで5期連続優勝。2017年から2019年まで台湾シリーズで3連覇しており、豊富な資金をもつ親会社への売却で「楽天王朝」への期待は高まった。しかし、予想に反して一昨年、昨年と半期優勝と台湾シリーズ出場をいずれも逃す結果となった。そのため、楽天にとってこの半期優勝は「至上命令」に近い形であった。

 前身のLaNew、Lamigo時代、チームを7回の台湾一に導いた名将、洪一中監督からチームを引き継いだ曾豪駒監督にとっても初の半期優勝に。試合後、涙をにじませながら「2年間待って、ようやく手に出来た。次の目標は台湾王者だ」と語った。

 楽天モンキーズは、外資が親会社の球団として半期優勝を果たした初のチームとなった。川田喜則CEOは、コーチ陣や選手の奮闘に加え、春季キャンプ前から綿密な戦略を立て、これをしっかり執行できたことが大きかったと振り返り、今後も補強の手を緩めないと強調。NPBの楽天ゴールデンイーグルスと共に、この秋日台の「楽天」が頂点に立つことを希望した。

 そして、今回の前期優勝の大きな鍵と言われているのが、「楽天人脈」による日本人指導者の加入である。昨年10月、まず川岸強氏が投手コーチに就任、1、2軍を巡回し投手力の見極めを行うと、今季は2軍投手コーチに就任し、若手の底上げを図った。

 また今季から、昨季まで3年間、同じ台湾プロ野球の富邦ガーディアンズでバッテリーコーチを務めていた古久保健二氏が1軍ヘッドコーチに、西村弥氏が1軍の守備走塁コーチに就任した。曾豪駒監督も、特に走塁や守備面の意識、そして戦術実行において、日本人コーチのサポートは大きかったと感謝した。

(「パ・リーグ インサイト」駒田英)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND