2イニング連続の満塁無得点も「作戦通り」? 西武・辻監督が語った逆転勝利の理由
山本を6回で引きずり下ろしたことに大きな意味「大いにチャンスある」
4回には高橋が宗に1号2ランを被弾し先制を許すも、その裏に反撃。2死一塁で源田が一塁線を破る適時三塁打を放ち、すかさず1点差とした。結局山本は、6回までに7安打4四球で119球を要し、1失点でマウンドを降りた。辻監督は「あれでいけるというか、大いにチャンスがあると思いましたよ。まだ6回だったからね。7回までいったら、また違っただろうけれど」と言う。大量点は奪えなくとも、早々とマウンドから引きずりおろしただけで御の字だった。
1-2のまま迎えた8回の攻撃。西武打線はオリックス3番手の本田を攻め、1死一、二塁で源田が右前へ同点タイムリー。さらに2死満塁として、栗山が勝ち越しの押し出し四球を選び、呉念庭もボテボテの当たりの適時内野安打を放ち加点して勝利をもぎ取った。
この日、お立ち台に上がったのは3安打2打点の源田だったが、辻監督はそれ以上に、1番打者として2安打3四球で全打席出塁した外崎を絶賛した。「こんな外崎は初めて見た、というくらい素晴らしかった。『ヒーローインタビューじゃなかったの?』と聞いたくらい、俺はヒーローだと思った。つなぎ役として大きな働きをしてくれた」と褒め上げた。
本塁打、打点でリーグトップを走る山川という存在はありながらも、あくまでコツコツ地道につなぎ、ここぞの場面を逃さずスルリと勝利をさらったこの日の展開こそ、試合巧者・西武の真骨頂だろう。依然、首位から5位ロッテまでわずか3.5ゲーム差の大混戦が続く。西武はこの日から、新型コロナウイルスに感染していた栗山が約1か月ぶり、右太もも肉離れで戦列を離れていた金子も74日ぶりに、1軍復帰を果たした。辻監督は「(離脱していた主力が)ちょこちょこと揃ってきたじゃん」とうなずき「よし、これからだ」と言葉に力を込めた。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)