春の準V右腕がイニング2被弾…近江・山田が“エースで4番”だからこそ得たヒント
一番の反省点は2被弾、主軸打者として鶴岡東打線から得た収穫
まさかの“1イニング2被弾”から、次戦への学びを得た。第104回全国高校野球選手権大会は12日、甲子園球場で第7日を行い、第3試合では春の選抜で準優勝した近江(滋賀)が鶴岡東(山形)に8-3で勝利し、3回戦にコマを進めた。エース兼4番兼主将というチームの要、山田陽翔投手(3年)は本塁打を浴びる一方で、直後に逆転の2点適時打。チャンスメークした仲間に感謝し「改めて近江に入ってよかったなと思う試合になった」と安どの表情を浮かべた。
1点を先制して迎えた3回裏だった。準優勝した春の選抜では、1回戦から決勝途中まで投げ抜き準優勝した最速149キロ右腕・山田が連打を浴びた。先頭の9番・渡辺千尋投手(3年)に137キロの直球を左翼席へ運ばれると、続く武田虎白外野手(3年)に右前打。さらに土屋奏人捕手(3年)にも4球目、高めのスライダーを左翼スタンドへ放り込まれた。
試合後は「(相手チームは)打が売りなだけに、高めの上ずった球は見逃してくれず簡単にホームランを打たれた」と反省の弁。特に2本目の本塁打を放った土屋を「甘い球を見逃してくれず嫌なバッターでした」と振り返り、「お手本のようなバッティング」と称えた。
そんな余裕も、勝ったからこそだ。9回を149球で投げ抜き3失点、11本の安打を浴びながらも12奪三振という粘投だった。多賀章仁監督も「山田があんなにホームランを打たれることは記憶にない。ダメージはあったと思うが、真骨頂のピッチングをしてくれた」と、心折れずに完投した大黒柱を褒めた。山田も被弾した直後には仲間から「まだ序盤や。こっからや。まだゲームは3回や」と声をかけられたと言い、チームで導いた勝利を強調した。
山田にはチームの中心打者という顔もある。対戦した強打者からの“学び”もあった。多賀監督から甲子園の浜風を味方に付け「叩けば(スタンドへ)入る」とアドバイスをされていたと言い「相手さんもそのようなバッティングをしていた。やっぱり(球が)高くなれば(打球は)スタンドを超えるということを見せてもらった」と感心したように語る。今夏の滋賀大会でも1本塁打を記録している4番打者として「次からはそのようなバッティングができるように頑張りたい」と“柵越え宣言”まで飛び出した。
この2回戦は、7日の鳴門(徳島)との1回戦で逆転の2点三塁打を放った横田悟内野手(2年)が体調不良で欠場していた。山田も「横田に『回復するまでは勝つから』と言ったからには負けられない。次戦は日本一という目標への通過点」と力を込める。失敗をも収穫へ変え、春に叶えられなかった全国制覇へ突き進む。
(喜岡桜 / Sakura Kioka)