大阪桐蔭、強さの秘密は“強打”だけにあらず 単打を長打に変える「一打二進」の意識
二松学舎大付との3回戦に勝利、4年ぶりの8強進出
第104回全国高校野球選手権は8強が出そろい、18日に甲子園球場で準々決勝4試合を行う予定だ。3度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭は、第3試合(午後1時開始予定)で下関国際(山口)と対戦する。ここまで聖望学園(埼玉)との2回戦では25安打19得点と打線が爆発し、16日の二松学舎大付(東東京)との3回戦では4-0。それでも「西の横綱」の“強さ”を見せつけられた試合だった。
16日の3回戦で、1番を打つ伊藤櫂人内野手(3年)は大会記録に並ぶ1試合3本の二塁打を放った。ただ、いずれも外野の間を破るような長打性の当たりではない。外野手が正面で捕球しても、守備位置が深いとみると、一気に一塁を蹴って二塁を陥れた。4回の第2打席では左翼手が少し打球を逸らしたのを見ると、一気に三塁へ。記録は二塁打と左翼手の失策だが、球場はどよめきに包まれた。伊藤は2回戦でも、三遊間を抜けた左前打で二塁を陥れている。
伊藤は「『一打二進』ということで、常に狙う意識を持って、チームで話しているので、結果的にそうなっただけで」と淡々。「1本のヒットで2つの塁を奪う=一打二進」という意識を徹底していると明かす。
西谷浩一監督も「広い甲子園で、うちの攻撃は外野が深く守られる時が多い。シングルヒットでも二塁打になるよということで、チャンスさえあれば狙ってと言っていますので。打った時点で全員二つ(二塁)狙っていると思います」と語るように、過去の甲子園で何度も強打を見せつけてきた大阪桐蔭だけあって、相手の外野手は大飛球を警戒して、深く守ることが多いが、それを逆手にとり、単打の当たりを“長打”にしてしまうのだ。
どの打者も、単打性の当たりでも一、二塁間の1/3あたりまでは全力疾走でスピードを緩めない。伊藤は「ピッチャーに(ボールが)返るまで狙うというか、1つの隙があったら行く。という細かいところまでこだわってやっています」という。日頃の実戦形式の練習から追求し、少しでも隙があれば、チーム内で話し合いを行うという。