大阪桐蔭、強さの秘密は“強打”だけにあらず 単打を長打に変える「一打二進」の意識

“スーパーサブ”として控える大前をスタメン起用→大ファインプレー

 さらに、3回戦では背番号6の鈴木塁内野手(3年)に代わって、13番の大前圭右内野手(3年)が遊撃手で先発起用された。6回、三遊間へ打球が弾み、三塁手の伊藤が弾くも、バックアップした大前が最深部から足を踏ん張り一塁へノーバウンド送球でアウトに。球場が大きく沸く大ファインプレーに、ベンチに戻ると西谷監督からもバシッと肩を叩かれ、称えられた。

 西谷監督は大前を先発起用した理由を「鈴木が悪いというわけではなかったんですが、大前の練習での動きを見て、非常に勢いがありましたので、新しい血を入れて、化学反応が起こるかなと。いつもベンチで後半出る時にいい準備をしてくれるので、勢いを買ってスタメンにしました」と明かす。内野も外野も守れ、これまでもチームをスーパーサブとして支えていた選手だ。「足も速いですし、これまであまり出る機会がなかったんですけど、今日は勢いを与えてくれた」と称賛。“控え選手”でも、大舞台で自分のプレーができてしまうのだ。

 今大会2本塁打を放ち、プロも注目する松尾汐恩捕手(3年)の控えには、選抜で本塁打を放ち、2回戦で途中出場ながら2打数2安打と結果を残した工藤翔斗捕手(3年)がいる。投手陣でも、この日6安打完封したエース・川原嗣貴投手(3年)をはじめ、別所孝亮投手、2年生左腕の前田悠伍投手らも控え、層は分厚い。優勝した2018年以来、4年ぶりの8強進出にも「もっと中押し、ダメ押しと加点していかないといけなかったんですけども、そこは相手があることなので」と反省を口にした西谷監督。3度目の春夏連覇へ、少しの隙も許さない。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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