大柄な子は肩や肘への負担も大きい? 成長期の選手たちが示す“疲労のサイン”

体が大きいほど肩肘への負担が大きい?
体が大きいほど肩肘への負担が大きい?

対象を9歳と10歳に限った研究を紹介、BMIと投球による肩・肘の負担は関連する?

 肘内側側副靱帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)の権威である慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師は、野球上達への“近道”は「ケガをしないこと」だと語ります。練習での投球数を入力することで肩や肘の故障リスクが自動的に算出されるアプリ「スポメド」を監修するなど、育成年代の障害予防に力を注ぎ続けてきました。

 では、成長期の選手たちが故障をせず、さらに球速や飛距離を上げていくために重要なのは、いったいどのようなことなのでしょうか。古島医師は休養の重要性を訴える一方で、体を鍛えたり、柔軟性を高めたりすることも必要だと話します。この連載では、慶友整形外科病院リハビリテーション科の理学療法士たちが、実際の研究に基づいたデータも交えながら、ケガをしない体作りのコツを紹介していきます。今回の担当は綿貫大佑さんと貝沼雄太さん。テーマは「肩・肘の負担と体格について」です。

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 学童野球を見ていると、大人のように大柄な子もいれば、まだ4年生かなと思うような小柄な6年生もいます。成長スピードに個人差が大きいためですが、体格の違いが肩・肘に与える影響に差はあるのでしょうか。

 投球バイオメカニクス(生体力学)の研究は多くある中で、今回は9歳と10歳に限った非常に珍しい研究を紹介したいと思います。

「The Orthopaedic Journal of Sports Medicine」という雑誌で紹介されている研究(※1)では、9歳と10歳の野球選手13人を対象としています。選手たちはしっかりとウォーミングアップをした後、5球ごとに30秒の休憩をしながら計75球の投球を行いました。今回のテーマである「肩・肘の負担と体格」についてですが、BMI(body mass index)が高い選手ほど肩・肘の負担が大きいという結果でした。
(注:BMIは肥満度を表す指標で、「体重(kg)÷身長(m)の2乗」で求められます。たとえば、身長が150センチで体重が40キロであれば、40÷(1.5×1.5)=17.8となります)

成長期の選手は疲れてくると手投げになる

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