西武のサブマリンが記録する“驚異の数字”とは? データが示す手玉に取る投球術
高くはない奪三振率…それを補う驚異的な“与四球率”
次に、與座が記録した年度別の指標を見ていきたい。特に注目したいのが、今季の圧倒的な与四球率の低さだ。与四球率は9イニングを投げた場合に、平均で何個の四球を与えるかを示す指標。すなわち、今季は9回を完投しても、1試合で1個しか四球を出さないことになる。先発としてこれだけの数字を残す投手は極めてまれで、驚異的な水準といえる。
その一方で、今季の奪三振率は4.81、通算でも5.08とかなり控えめで、典型的な打たせて取るタイプの投手と言える。そうなれば被打率の重要性も高まるが、2020年は被打率.311と打ち込まれ、防御率も5.45と苦しんだ。しかし、2021年以降は被打率が.222前後と大幅に改善されており、防御率にもダイレクトに反映されている。
奪三振を与四球率で割って求める、制球力を示す指標の「K/BB」は、一般的に3.50を上回れば優秀とされている。先述の通り、奪三振数は多くない。それにもかかわらず、2022年のK/BBは4.64と、極めて優秀な水準に到達。制球力が群を抜くものであることを示している。
そして、与四球率と被打率の双方が大きく改善されたことにより、1イニングごとに出した走者の数を示す「WHIP」も年々向上を続け、2022年は1イニング1人未満となっている。そもそも走者を出すケースが少ないからこそ大量失点の可能性も低いという、好循環が生まれているのだ。