ビッグボスの奇襲は「助かった」 西武・辻監督、冴えた勝負勘「嫌な予感がした」
8回途中で高橋光成の降板決断「投手コーチは続投させたかったかも」
守っては、高橋が8回途中1失点の好投。與座、エンスと並ぶチームトップの9勝目(7敗)を挙げた。8回1死走者なしでは、清宮、石井、近藤と左打者が並ぶことから、辻監督は左腕の公文克彦投手にスイッチ。107球の高橋はマウンドを降りる途中、何度も首を横に振って悔しさを露わにしたが、辻監督は「俺、嫌な予感がしたから。投手コーチは続投させたかったかもしれないが、1人でも塁に出せば近藤に回る。清宮にヒットを打たれて走者を出してから公文を行かせるのでは、嫌でしょう。『1死取ったら代えて』と投手コーチに言いました」と説明した。
公文は清宮、石井を打ち取り、指揮官は「代えて打たれたら、どうしようかと思った。ホッとしたよ」と胸をなでおろした。野手出身で、普段継投に関しては基本的に豊田清、青木勇人の両投手コーチに任せていると言う辻監督としては、珍しく自説を通した格好だ。
1位から4位までが4ゲーム差内にひしめく大混戦は続くが、パ・リーグの監督の中で、2018、19年にリーグ連覇を成し遂げた辻監督の実績は、頭ひとつ抜けている。西武の残り試合は、リーグ最少の22。指揮官の手腕が物を言うのは、最終コーナーを回ったここからかもしれない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)