コロナで消えた夏「終わった実感なかった」 歓喜の街で行われた“42日後の宮城大会”
東北と東北生活文化大は8月30日に“宮城大会3回戦”を実現させた
第104回全国高校野球選手権の宮城大会3回戦で行われる予定だった東北と東北生活文化大(以下、生文)の試合は生文の出場辞退により、東北が不戦勝となった。その後、両校で協議し、8月30日に「3回戦」を実現させた。全国選手権を同じ宮城県の仙台育英が制し、東北地方に初めて深紅の優勝旗をもたらしてから8日後、公式戦用のユニホームを着た両校の3年生ははつらつとプレー。今夏で退任した東北・富沢清徳監督、生文・水沼武晴監督とともに野球を楽しみながら、“ラストゲーム”を戦い抜いた。試合は6-5で生文が勝利した。
新型コロナウイルスの流行とともに中学を卒業し、高校生活をスタートさせた今年の高校3年生。コロナ禍での高校野球は“引退”にも影響を及ぼした。今夏の宮城大会で生文は1回戦を5回コールド勝ち。2回戦を延長10回、2-1のサヨナラ勝ちで制し、7月19日の東北との3回戦に駒を進めた。しかし、2回戦後にチーム内で新型コロナの感染者が多数出たことで出場辞退を決めた。
一方、今春の東北大会準優勝校として夏に臨んだ東北は1、2回戦をコールド勝ち、3回戦は生文の辞退で不戦勝になった。ところがその後、新型コロナの感染が拡大。7月23日の聖和学園との準々決勝はベンチ入りメンバー12人を入れ替えて臨んだが、1-13の7回コールドで敗れた。
両校の3年生は不完全燃焼で“引退”を余儀なくされた。そこで、両校が話し合い、3年生による「3回戦」が実現した。試合は2回から雨脚が強くなったが、取っては取られての白熱した展開となり、両校ナインはぬかるむグラウンドで全力でプレー。5回に小松光成、及川峻良の2者連続本塁打が飛び出した生文が勝利した。