送り込まれた松本も驚いた なぜ鷹ベンチは満塁で左の栗山に嘉弥真をぶつけなかった?
「栗山には松本のパワーピッチングで行った方が相性もいいしと」
緊急登板となった松本だったが、圧巻の投球を見せる。150キロを超えるストレートを連発して栗山を追い込むと、最後はフォークで空振り三振に。満塁のピンチを切り抜け、見事に火消しに成功した。この回を松本が凌ぐと、7回は津森宥紀投手、嘉弥真新也投手、泉圭輔投手の3人を突っ込み、藤井、モイネロと繋いだ。
東浜のアクシデントでのスクランブル継投。なぜ、藤本博史監督は“火消しの嘉弥真”ではなく、松本の投入したのか。指揮官は試合後に「去年5打数0安打。嘉弥真は今年2打数1安打。次の回、左が続くっていうところもある。そこに嘉弥真を当てた方がいいんじゃないかって。だから栗山には、松本のパワーピッチングで行った方が相性もいいしっていうことで、あえて松本を選びました」と、狙いを明かした。
松本と栗山はここまで今季の対戦はなし。昨季は7打席対戦して5打数0安打2四球だった。一方で、嘉弥真は栗山と今季2打数1安打。さらに西武打線は栗山の後、右の愛斗を挟んで、オグレディ、鈴木と左打者が続いていた。ベンチは松本と嘉弥真の栗山との相性、そして左打者が続く下位打線の並びを考慮し、栗山に嘉弥真ではなく松本をぶつけたのだった。
ベンチの思惑通りに松本が栗山を空振り三振に仕留めると、その裏に大きな追加点が生まれた。嘉弥真らを投入した7回の西武の攻撃を封じると、その裏にはさらに2点を加えて大きく勝利を手繰り寄せた。大きな勝負のポイントとなった6回の守り。驚きの継投を繰り出したベンチ、そして、その期待に応えた松本と、ソフトバンクにとって大きな勝因となった。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)