阪神藤浪が5戦連続QSも「勿体ない1球」 OB解説者が分析「引っ掛けたくない心理」
3回の坂本に浴びた先制打「力んだ後のもう1球、投げ直しは難しい」
野田氏が注目したのは3回2死二塁から先制打を浴びた坂本の打席。1ボール2ストライクからの4球目。157キロの直球が外角に外れると、バッテリーは続く5球目も外角直球を選択し痛打を浴びた。「投手としては決めにいった直球が力んでボール球になると次は『引っ掛けたくない』という心理になる。力んだ後のもう1球、投げ直しは難しい。あの場面はスプリットでも良かった。勿体ない1点だった」と野田氏は振り返った。
5回の2点目は近本が目測を誤り、6回の3点目も無死一塁から中田が放ったゴロを三塁・佐藤輝が弾き(記録は三ゴロ)併殺を取れなかった。藤浪の投球は6回3失点だったが「記録に残らないエラーでの失点。3点目もあそこは併殺を取ってほしい場面だった」と、実質的には6回1失点と捉えても問題ない内容だった。
これで藤浪は1軍に復帰した8月6日の広島戦から5試合連続でクオリティスタート(QS)を達成。近年、苦しんでいた制球面の不安を克服し、安定した投球を見せている右腕に「テークバックでも力が抜け、力みがない状態で150キロ後半を投げられている。精神的な余裕もあり自らのチェックポイントも分かっているのではないでしょうか。この状態が続ければ長期的なスランプはないと思います」と野田氏。
チームは連勝が3でストップし、再び借金生活に突入。4位・広島、5位・巨人とのゲーム差は「3」に縮められた。シーズンは残り17試合。敗れはしたがCS争いを続けるチームにとって、安定感ある投球を見せる藤浪の存在は希望の光になるはずだ。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)