「しばくぞ」の一言で目が覚めた? 初回乱調のDeNA上茶谷を立ち直らせた“猛ゲキ”

DeNA・上茶谷大河【写真:小谷真弥】
DeNA・上茶谷大河【写真:小谷真弥】

三浦監督「悪いなりによく踏ん張った」

■DeNA 9ー2 阪神(9日・横浜)

 セ・リーグ2位のDeNAは9日、本拠地・横浜スタジアムで3位・阪神に9-2で逆転勝ち。首位ヤクルトには7.5ゲーム差をつけられているものの、阪神とのゲーム差を「5」に広げ、2位固めに入った格好だ。今月2日以降、マツダスタジアム、東京ドームと続いた敵地での6試合は、打線が湿り1勝5敗と苦しんだが、得意のハマスタ(34勝23敗1分、勝率.596)で打棒が復活した。

 立ち上がりは不安いっぱいだった。3か月ぶりの1軍登板となった先発の上茶谷大河投手は初回、ストレートが指にかからず、先頭の中野を四球で歩かせ、2番・糸原のカウントも2-0に。ここで伊藤光捕手が早くもマウンドに駆け寄った。上茶谷によると「おい、おまえ、しばくぞ」とゲキを飛ばされたという。結局糸原にも四球を与え、近本には右前適時打、大山にも右犠飛を許し、いきなり2点を失った。三浦大輔監督は「本当にしばかれればよかったのに」とジョークを飛ばしたが、2回以降立ち直り、追加点を許さなかったことが勝利につながった。

 打線は4回2死から、4番の牧秀悟内野手が左中間へ9試合ぶりの24号ソロを放ち反撃開始。1点を追う5回には、1死ニ、三塁のチャンスをつくり、代打タイラー・オースティン外野手の打席中、相手先発・藤浪の2つの暴投で一気に逆転した。さらに1死満塁とし、佐野恵太外野手が放った飛球は目測を誤った左翼手ロハスの前にポトリ。2点タイムリーとなった。この回はまだ終わらない。二塁走者の関根大気外野手と一塁走者の佐野がダブルスチールを決め、直後に牧がライトオーバーの2点二塁打。楠本泰史外野手もしぶとく二遊間に適時内野安打を放ち、今季最多の1イニング7得点で試合の流れを決定づけたのだった。

「しばくぞ」のひとことで目が覚めたのか、上茶谷は5回4安打2失点にまとめ、4月16日にヤクルトを5安打完封して以来、5か月ぶりの白星となる3勝目(6敗)。三浦監督は「5回をビシッと(3者凡退に)抑えたからこそ、その裏に流れが来た」と評し、「悪いなりによく踏ん張った。(伊藤)光も、ボールが上ずる中で難しい配球だったと思うけれど、苦労しながらよくリードしたと思います」とバッテリーを称えた。

 上茶谷は6月8日の日本ハム戦で右足首を捻挫し戦線を離脱してからは、2軍でも打たれる日が続いていたが、波乱万丈の展開を乗り越えて復調。チームも2位固めはもちろん、首位を走るヤクルトにもう一泡吹かせるつもりだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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