野球を一時中断して受験に集中 元楽天ドラフト1位投手の将来を見据えた進路選び

「進路はゼロか100ではない」 成長に必要なのは目標や信念

 野球をしている小、中学生や保護者は進路で悩む。中学や高校で全国大会に出場するような強豪チームに入れなければ、将来はないと考える人もいる。首都圏などでは小学校高学年で野球か受験かの二者択一をチームから迫られ、野球を断念する子どもは少なくない。戸村さんは自身の経験から、こう話す。

「進路はゼロか100という話ではありません。個人的には強豪校を目指して甲子園に行きたかった気持ちは今でもありますが、立教新座高校に入ったからエースになれました。立大の4年間で伸びた部分もあります。今いる環境、自分が選んだ環境で一生懸命やることが一番大事だと感じています」

 中学のチーム選びで軟式か硬式かを悩む親子には、アカデミーコーチの経験も踏まえて、子どもに合った選択をするようにアドバイスしている。成長期が早く訪れた子どもは、高校野球を見越して中学から硬式でプレーして慣れることは1つの考え方になる。一方、まだ体が十分に成長していない子どもが軟式より重い硬式球でプレーすると、体への負担が大きくなる。戸村さんは「球の違いは、時間をかければ必ず慣れます。無理に中学から硬式のチームに入るよりも、目標や信念をしっかりと持っていれば、どんな環境でも成長できます」と力を込める。

 実際、戸村さんも中学まで軟式で、投手になったのも高校に入ってからだった。グラウンド以外でも、食事をしている時やテレビを見ている時に硬式球を握って重さに慣れ、感覚をつかんでいった。目標に到達するまでの道は1つではない。選んだ道の進み方でゴールにたどり着けるかが決まる。

(間淳 / Jun Aida)

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